大野柚布子
ネメシス
『インフィニット・デンドログラム』は、現代ではまだ実現されていない「VRMMO(仮想現実大規模多人数オンライン)」を舞台にした作品なのですが、“五感で体験できるゲーム”というところにまずワクワクして。
ストーリーは王道の冒険譚なのですが、こちらの予想を裏切るような展開にもドキドキしましたし、設定が細かい部分まで作り込まれているので、原作を読んでいるうちに、その世界観が目の前に広がっていくような感覚がありました。
私にとってネメシスは、役者として新しい挑戦だったんです。これまでは、素直で可愛らしい子どものようなキャラクターを演じる機会が多くて。
ネメシスは勝気な性格で、捉え方によっては上から目線な印象なんですけど、そういう自分の引き出しにはなかったキャラクターを演じるというところで、難しさも感じていました。
彼女はエンブリオという武器でもあるのですが、人間のように喜怒哀楽があって、食いしんぼうで、お化けや死体を怖がるような可愛らしい一面もある子で。そんな彼女が「この瞬間どんなことを考えているのだろう?」というイメージが最初はうまく湧いてこなかったんです。
「人間ではない彼女にどこまで感情があるのか」や、一心同体のパートナーであるレイとどこまで同じことを思うのかなど、役を掴むまでに時間がかかって。
そうなんです。でも、武器という無機質な見せ方はしたくないと思っていて。監督からは、「ネメシス自身はレイの武器として彼を守る存在だから、自分のことを強いと思っているし、絶対に負けないんだという自信を持っている子なんだ」というアドバイスをいただいて。その言葉を受けてからは、ネメシスに寄り添いやすくなったと思います。
レイはまさに“カッコいい主人公”という感じの印象なんですけど、率先して「俺について来い!」というタイプではないんですよね。それでも、仲間は自然と彼についていきたくなる。そういう魅力がある人なのだと思います。
なにより、1パーセントでも可能性があるならば絶対に諦めない。そのことは私自身もレイから学んだことで。『インフィニット・デンドログラム』以外の現場でも、挫けそうになったときには彼のセリフをよく思い出します。
レイとは「ヴェンジェンス・イズ・マイン(復讐するは我にあり)」という技名を一緒に叫ぶシーンがあるのですが、演じていて特に楽しかったですね。厨二心をくすぐられるというか(笑)。その技名の言い方も話数が進んでいくうちにだんだんと変わっていきました。
最初はネメシス発信で言っていたのが、ストーリーが進むにつれてレイとの間にバディ感が生まれていくなかで変化していって。私自身も「斉藤さんはこういうふうに言うんだろうな」というイメージを膨らませながら意識的に演じていたので、それがセリフに出ていたらいいなと思っています。
しりとりをしました!(笑)。第1話でネメシスは後半パートからの登場だったので、それまで私は他のキャストさんの収録をじっとしながら見ていたんです。でも逆にそれで緊張してきてしまって。
そんなときに、リリアーナ役の悠木碧さんが「しりとりしよう!」と誘ってくださって。そういった先輩方の心遣いが本当にありがたかったなと思います。
宝物を発掘するようなジョブがいいですね。遺跡とかにすごく興味があって、人が行ったことのないような未知の領域に足を踏み入れる冒険者みたいな。でも戦いは避けたいので、バトルでは後衛の回復役に徹して終わるのを待ってます(笑)。
もちろん1位はレイなんですけど、ルーク(CV:小市眞琴)とも一緒に旅をしてみたいですね。キャラメイクで絶世の美女をアバターにして、絶世の美少年のルークと一緒に歩いて周りから羨ましがられるような人生を送ってみたい(笑)。
あとはバトルがすごく強いキャラクターというところで、フィガロ(CV:鈴村健一)もいいですね。あのサラッとしているのに強いところがカッコいいし、あまり負傷している姿がイメージできないですけど、そんな人がダメージを負っているときに回復してあげたいなと思います。
原作をご存知の方は、今回アニメとして楽しめるようになったことで、よりリアルにゲームの中に入り込んだようなワクワク感やドキドキ感を味わっていただけると思います。
アニメから入っていただく方にも、これから『インフィニット・デンドログラム』をご覧いただくことで、この世界の無限の可能性を感じていただけたら嬉しいなと思っています。放送まであと少し、楽しみに待っていてください!
インタビュー・文:吉野庫之介